老害デザイナー?
先日、私より少し年配のデザイナーの方が「僕もついに老害になってしまったなぁ、気をつけなきゃ…」と仰いました。
私は以前からその方とやりとりしていて、イラストレーター(ai)のアートボードの作り方が気になっていました。制作物に対してアートボードの比率が2倍もあるようなサイズのデータだったので、少々違和感と使いづらさを感じつつ作業していたのです。しかし特に間違いではなかったので指摘することもなくやり過ごしていました。
たまたまそういう話になって「今は基本原寸で作るのが主流だと私は認識している」とお伝えしました。私は印刷会社の中に在籍していたことがあり、どでかいアートボードが彼らに嫌われているのを隣で目にしていたので、印刷現場と制作現場では認識が違うかもしれませんね、とお話しました。
その場で特に変えてくれなどと言ったわけでも、相手を変えようとしたわけでもないのですが、しばらく時間が経って彼の方から冒頭の言葉が出たのです。
どうやらネットでいろいろ見てみたようでした。
私は彼の言葉を自戒を込めて噛み締めました。ITの世界は日進月歩。ソフトウェアは去年一番優れた方法だったものが、今年はもう陳腐化しているなんてことが往々にしてある。ついこの間までデザイン学校や美大にいたような新卒に教わることが特に起こる業界だと思います。
人は基本的に自分が正しいと思っていて、変化を嫌がる生き物。これは生存本能なのでそういうものだと認識したうえで、どうすれば良いか。
それはとても難しい課題なのだけれど、「好奇心を失わないこと」「食わず嫌いしないこと」なのではないかと私は思っています。
一方で「ここは変えなくていい」という自分の信念のようなものは、静かに持ち続けていたいと思いました。