「おしゃれ」にあらずんば人にあらず
デザイナーというとなんとなく「センスがよさそう、おしゃれに気をつかっていそう」というイメージを持っている方も多いようです。
デザインをする上で「センス」というものがどれだけ影響しているのかはわかりませんが、必ずしもデザイナー全員がおしゃれに興味があるわけではないですよね。
かくいう私は若かりし頃「どっぷりつま先から頭のてっぺんまでファッションオタク」でした。暇さえあれば裏原宿あたりに出向いて稼いだお金の大半を服やヘアサロンで使っていました。当時の私は「おしゃれにあらずんば人にあらず」くらい、ファッションに敏感であることのプライオリティが高かったのです。
しかし今やそのときの情熱はどこへやら、特にファッションにはさほど関心がなくなってしまいました。
どうしてあれほど熱中していたのか今となってはわからないのですが、最近ひとつわかったことがあります。「おしゃれ→ファッション」というのは“趣味のいちジャンルに過ぎない”と。読書、ガーデニング、俳句、サイクリング、サッカー…という様々な趣味のひとつに「おしゃれ→ファッション」があるだけ。それなのに、特に若い年代だと「おしゃれじゃない→ダサい人」というレッテルを貼られるのが怖くて必修科目になってしまっているのですよね。他の趣味は自由選択なのに。
かつて「おしゃれホリック」だった私も最近は清潔感があって着心地の良い服を選ぼうと思うようになりました。
そんなときふと誰かが言った言葉を思い出してすとんと腹に落ちました。
「おしゃれは自分のため、みだしなみは人のため」と。