本離れって言われているけれど…?
「最近の若者は本を読まなくなった」なんてよく言われていますね。
それが本当であれば、本づくりに関わっているひとりとしてとてもかなしいことだなと思います。
そこで、もしそうだとしたら何でかな?と考えてみる。
・・・若いときは本を読むより楽しいことがたくさんあって、みんなそこまで手が回らない?
手持ちのお金も限られている中で友達や恋人とのおつきあいもあったり、SNSだって気になるし、スマホのゲームだって秀逸なものがたくさんあって、なかなか本にばかり時間やお金を回せない?
今はインターネットで検索すればほぼ何でも無料で手軽に調べられるし、現物(紙)が手元に無い方がかさばらず気が楽、という感覚もあるのかな…?
便利さ・手軽さ、安さ、早さ・・・
そういうことで本はネットにはかなわないのでしょう。
だとしたら、わざわざ「本を手にする意味」はなぜか・・・
う〜ん、難問を持ってきてしまった(墓穴)。
結局、一般論的な若者の気持ちをズバッと代弁できる解は見つからないのだけど。
・・・そこでふと、知人の男子(当時大学生)を思い出しました。
彼はズボンのポケットに、ニーチェやカントの本を入れて持ち歩いていました。
「そんな難しいの読んでるの?」と聞くと「いや、飾り。カッコいいから挿してるだけっす」とニヒルな笑いを浮かべていました。
なるほど、本はそういう使い方もあるのか…と私は感心してしまいました。
かく言う私だって若い頃、本を読むことに意識も意見も持ち合わせてなかったなぁと思うのです。
30代になった頃やっと欲が出てきて(?)「この本から1行でも何か学ぶぞ!」と「本を読む事の意味や目的」を意識するようになった気がします。
若者だっていずれ年をとる。誰にも人生いろいろある。
そうなってあらためて、目が覚めたように本という存在に立ち返るときが来るのではないか。
本気で何かに悩んだり迷ったりしたとき、ニヒルな中年になった“あの彼”も、
初めてポケットからニーチェを取り出して開いてみるのかなと思いました。
(むしろ余計深く思い悩んでしまわないか心配ですが・・・)